(2)魚が楽しめるのは誰のおかげ?

この話は一つ間違えるととんでもない方向性を持ってしまう難しい事なのですが、最近のネットの普及によって増えた目に余る「無法者」に対して、業界人の立場としてあえて物申させていただきます。


熱帯魚の中でも生体は、通常以下
のような順番で流通する仕組みになっています。
1.採集者(漁師)
2.現地シッパー(輸出業者)
3.一次問屋(輸入業者)
4.
ショップ(小売店)
5.エンドユーザー

実際には「1」が養殖業者だったり、「1」と「2」の間に中間業者がいたり、「2」と「3」の間に別の国の輸出入業者が入っていたり、「3」と「4」の間に二次問屋がいたりしますが概ねこのようなものと考えて良いでしょう。
中には「3」や「4」が直接部隊を編成して採集に出向き、珍種や希少種を国内に持ち帰る例もありますが、この場合は
エンドユーザーに渡る個体数は極僅ですから全体に与える影響は小さいのですが、マンネリ化しやすい全体の流れに刺激を与える役割がありますので適度ならば非常に重要な事です。


まず問題なのは度を超えた「4」の動きです。現地買い付けをはじめとした特定の仕入れルートや方法をわざわざ明かして自慢する短絡的な人がいるようですが、これは長期的にみると全体の価格高騰、珍種の減少や偏りにつながり最終的には業界全体がつまらなくなるといったリスクがあります。いくら狭い日本の小さい業界とはいえ、一人勝ちができる程甘いものではないので、もう少し頭を使っていただきたいものです。
ついでにいえば見当違いな「4」の動きも問題で、これは私が以前から物申している事柄で当HPの公開理由でもあります。生体を正常に流通させてその楽しみを知っていただき多くのファン更には深くまで追求するファンを育てるのが我々ショップの人間の本来の役割です。ファン=エンドユーザー無くしては正常な流通は成立しませんので、新しいファンの芽を摘みかねない理論的な説明ができない訳のわからないアイテムの販売でしか利益追求ができないような低レベルなショップは正直迷惑です。しかしエンドユーザーをバカにするようなスタイルは何時までも通用しないものです。
目先の利益に走り長い目で見た熱帯魚ファンの育成ができないようなショップはこれからどんどん淘汰されて行く事でしょう。


ドワーフシクリッドという分野によって飯を喰ってきた立場から、そのドワーフシクリッドを取り巻く「4」「5」の問題点についても少々物申させていただきます
ドワーフシクリッドといえばアピストといわれるように、現在ではドワーフシクリッドの主役の座にありますが、その主役についた理由としては豊富な種類やバリエーションがあげられます。
その豊富な種類を日本に届けるには「1」「2」「3」の働きなくしては考えられませんし、それを広く楽しんでいただく為に努力するのが「4」の役割です。そして何より「5」無くしては流通は完了しません。
生々しい表現になりますが「1」「2」「3」「4」「5」を巡る正常なお金の流れがアクアの世界を支えている訳です。新しい魚や珍しい魚が入って来るのもこの流れが成立するというのが大前提です。数千円〜数万円でアピストのペアーが手に入るのも、勿論この流れがあっての話ですから、現在容易に入手できる現地のアピストも正常な流通が麻痺した場合は入手する為に現地に採集に出向かなければならなくなります。数千円〜数万円で買えた魚を入手する為に、安く見積もってもウン十万円のコストがかかる訳ですからその重要性は容易に理解できると思います。
このような流れの恩恵で適当な価格で入手できるという事実を無視して、水槽内繁殖した魚を安易に流通させる半端愛好家の存在は最悪です。HPを公開してお山の大将に収まる為にそのネタの一つとして里親募集と称してばら撒きする人間がそれに当ります。またそれに群がる物乞いのようなクレクレ君も同罪でしょう。いやいや失礼しました、物乞いという表現は失礼ですね、様々な理由でそのような生活を強いられている人は世界中に沢山います、ある程度の生活基盤ができてこそ楽しめるのが趣味ですから、その趣味を物乞いによって得ようというのは恥ずべき事です。


ここまで過激に書いてしまうと「店内繁殖した魚を販売しているお前はどうなんだ!」という反論が出てくるのも当然でしょう。
簡単にいえば役割分担の違いです。「捕る人」「運ぶ人」「売る人」「買う人」それぞれが役割を果たしてはじめて成立し、更なる新種の到着が期待できるのです。
小型美魚の中でも原種小型熱帯魚の世界とは微妙なバランスの上に成り立っている極小さなものなのです。
エンドユーザーに楽しんでいただく為に新着魚の発掘や紹介をし、その楽しみ方を追及するのがショップの役割です。その為に入荷の少ない魚については水槽内繁殖によってある程度の普及を図るという事までも視野に入れる訳ですが、無闇に繁殖させるのではなく、系統維持とクウォリティを重視した育成によって行なわれなければなりません。ですからドワーフシクリッドに力を入れているショップならばワイルドの輸入があり、それが良い個体であれば必ず導入する事でしょう。このワイルドの導入は系統維持の為だけではなく、先に説明したお金の流れを止めないという重要な役割があります。
「お金の流れを妨げない範囲の適度な繁殖個体の流通がプロの努めと考え、その自覚を持って営業しているつもりです。」これが先の「お前はどうなんだ!」の答えです。


以前からの賢明な愛好家の方々は当然理解している事なのですが、
飼育技術の基礎の説明もせずに安易なアイテム販売に走る低レベルなショップやネットの普及による安易な情報交換によって作り出された「にわか愛好家」には生半可なアプローチでは理解していただけないと思いあえて厳しく書かせていただきました。
「真の愛好家として熱帯魚を楽しんでいただく為に」なんて臭い話をするもりはありません。キレイな魚を・面白い魚を・珍しい魚を楽しみたい、熱帯魚飼育なんて所詮は飼育者のエゴなんですから、それを末永く楽しむ為の最低限ルールだけは守りましょう。


長々と書いてしまいましたがお付き合いありがとうございます。後半は視点によっては「売り手」の身勝手な主張に過ぎないと解釈される事でしょう。しかし「売り手」と「買い手」がそれぞれの役割を分担しなければ続かないのが小型原種熱帯魚の世界という事だけは解っていただきたいのです。それを踏まえた上で楽しんでいただきたいのです。
どうしても殖やした魚を世に出したければプロになってください。ただし、その種親となった魚がどのような経緯で入手できたかを忘れない正常な流通の妨げをしない本当のプロになってください。そこまでの勇気がないのならば殖やした魚については購入店に相談する事をおすすめします。
くれぐれも
お山の大将になる為に、殖やした魚をエサとして利用するような半端愛好家にはならないように業界人として一愛好家としてお願いいたします。


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